「一番星のあなたへ」を読んで

 期待は当然していた。某所で知り、pixivで読んで武楓いい……してたので同人誌として続きが読めるとしったとき、このためだけにビックサイトにいこうかと本気で考えてた。いけなかったけど。幸いにも委託されたので手に入れることができた。圧倒的な感謝を捧げたい。

 

  内容に関しては期待というハードルを軽く越えていってくれた。

 

 

 二期が始まる以前に書かれていたため多少アニメとの差異はあるものの自分には気にならないレベル。

 時系列としては「To my first star」がアニメが始まる前、「For my first star」がサマフェス後なので一期と二期の間、「一番星のあなたへ」が二十五話後であってるのかな?

 

 

 改めてシンデレラプロジェクト担当プロデューサーの魅力は大きいなと。外見は大柄で強面、その性格は寡黙で口下手、人との交流は不器用だが仕事は正確でまじめとか高倉健のイメージみたいだ。ある種の男の理想像みたいなキャラが過去の失敗で臆病になっていたとかもうね、ど真ん中打ち抜かれるよね!

 

 もちろん各アイドルたちの魅力は言わずもがな。ゲームとアニメで積み重ねてきたキャラの重みはCP担当プロデューサーとは流石に違う。

 

 そして今作「一番星のあなたへ」はそのキャラクターのイメージを崩さずに二次創作として踏み込み、さらに昇華している。

公式では掘り下げの浅かったプロデューサーの過去を中心に挫折と立ち直りを描ききった。

武楓界隈で定番の元担当説とアニメで示唆された辞めていったアイドルたちを独自の解釈で再構成しアニメの補完的エピソードとしてつくりあげていった。

 

 

 

終盤のCPからのサプライズはアニメを楽しんだ者としてはもう感動するしかなかった。劇中では描かれなかったプロジェクト卒業をこういう形で表現してくるとは。早く来すぎたプロデューサーをそれぞれが様々な手段で足留めするシーンはこんなことしそうだよなあと。アナスタシアだけはラブライカの世界だった。ンミナミィ!各グループが贈り物を手渡し島村さんが最後に渡すとかもうね!もうね!

 

ここだけ切り取っても素晴らしい二次創作なのにハーブを決めてるペンギンは違った。さらに踏み込んだ。

作中の誰もが、ていうか読者の自分も見抜けなかった。乗り越えていたと思った。ただ一人、楓さんだけがプロデューサーの本質は臆病であることを見抜いていた。

 

 

もう感動したよ。あれだけすれ違いまくっていた二人なのに、楓さんはプロデューサーですら気づいていなかった気持ちを察してそのままの彼を包み込むんだぜ。美しすぎるだろうよ。

 

 上から目線で語るならストーリーラインが特別優れた作品ではないと思う。お約束の流れを丁寧に踏襲している。驚きの展開やジェットコースターのようなドンデン返しがあるわけではない。

 

 それでもこの作品を絶賛するのにいささかの躊躇いもないのは、キャラクターへの解釈の深さに圧倒されたからだ。キャラクターの気持ちや想いが真に迫っていた。キャラの新たな魅力や気づきをその描写は与えてくれた。作者の表現を通してアイドルとプロデューサーの気づけなかった一面を知ることができた。

 それを丁寧かつ整理された文体でしっとりと書ききった作者の筆力も構成力と合わせて素晴らしいものだと思う。

 

 

 アニメでの後半における畳みかける武うづに転向してしまった感はあったけど、改めて原点の武楓はいいと思ったよ。挨拶をした!!んって言った!!!!!

 

 いやー良い二次創作を読んだ。こういう練りに練った解釈による二次創作はすばらしい。もちろん情熱と勢いに突き動かされた二次創作もいいんだけど!

二次創作に正解なし!愛があればどんな作品も最高だ!

そんなことを再認識させてくれた良い作品でした!